僕から電話したことなんてあっただろうか?
いや、ないか。
「あ、もしもし、」
「もしもし」
電話に出た。何を話そうかはあまり考えていない。とりあえず歯科医院で会ってびっくりしたことを告げた。次は何を話そうか。ま、何でもいいか。何か普通に話せればいいか。ん、結構普通に話せてるな。これは高橋さんのおかげだな。結局高橋さんとは友人のままだ。
「なんというか、電話してみようかなと思って」
「ありがとう」
「制服、似合ってたよ」
「ありがとう」
「もし良かったら映画でも行かないかい?」
「同じこと思ってた」
中学の頃に付き合っていた時は全然うまく話せなかったよね、などの会話をして笑った。高校生になった僕たちはもう一度付き合うことになるのかもしれないぞ。と思いながら電話を切った。
