ほんの少し前

中学最後に交通事故にあった

中学3年間、僕はテニス部だった。

中学に入ったらバスケットボール部に入るって決めていたのだが、新設された中学校にはバスケ部がなかったのだ。入りたいクラブがなかったのでしかたがなくテニス部を選んだ。中学2年の頃にサッカー部ができた。小学5年生までサッカー少年団に入っていた僕はサッカー部に入ろうかなと思ったのだがテニス部を続けることにした。

なぜかって?

僕たちがバスケットボールが好きだということはテニス部の顧問の先生はとても理解してくれていたからだ。そのテニス部の顧問の先生は他学校にバスケットボールの練習試合を申し込んでくれては度々僕たちを車で連れて行ってくれた。しかしバスケ部ではない僕たちは勝てなかった。現実は甘くない。ちゃんとした練習をしたことがないからだ。僕たちは自分たちで練習メニューを考えて休み時間や放課後にバスケットボールの練習をしていた。

早く高校へ行ってちゃんとした練習がしたいなと思っていたが、中学3年の最後のテニス部での大会もとても楽しみにしていた。だって3年間テニス部でちゃんとした練習をして頑張ってきたのだから。

でもまさかの事態が起きた。

テニス部の顧問の先生にまたお願いして、他学校へバスケの練習試合に車で連れて行ってもらった。もちろん結果は惨敗だった。その帰り道、僕が乗っていた先生の車がガードレールに突撃した。すごいスピードで。車は右カーブをうまく曲がれなかったのだ。僕は後部座席の真ん中に座っていた。僕はすごい勢いでフロントガラスに飛び込んだ。なんとか上半身は両腕で守ったが右足が灰皿部分に激突して足首に何かの部品が刺さった。幸い大怪我をしたのは僕だけだった。

僕は中学3年最後のテニス部での大会に出られなかった。顧問の先生は僕の家に来て土下座をして謝っていた。それでも僕はその先生が好きで「僕は大丈夫です。先生は辞めないでください。」と言った。

松葉杖で学校へ通う僕。テニス部最後の大会にも出られない僕。ぼーっとしていると、自然消滅をした校内一かわいいであろう彼女が僕に話しかけてきた。

「大丈夫?何か手伝えることある?」

ひさしぶりに彼女と話した。交通事故にあって良かったなと少しだけ思った。そうか僕はこの子がまだ好きなんだ。相変わらず僕はカッコ悪い。涙が出てきた。僕は彼女の前で涙を流した。彼女はただずっと隣に立って僕を見ていた。

ほんの少し前
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ぼく

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日本で暮らす