僕の中学校生活は『不完全燃焼』という言葉がぴったりだった。
何をやっても中途半端で、決意というものがなかった。仲の良い友人が塾に通い始めたので僕も同じように通い始めた。塾はよくサボっていた。サボるのがかっこいいと思っていた情けない中学生だった。ある日、友人と塾に遅刻して行った。塾の先生は言った。
「お前は金魚の糞みたいだな」
その時は意味がよくわからなかったのだが、家に帰って理解した。僕は友人にくっついて歩いてるだけなのだ。またやってしまった。中学生になってからの僕はこういうことがよくある。自分というものがない。
小学生の時はとにかく走るのが好きだった。そしてサッカーが好きだった。友人たちを誘っては走っていた。夕方遅くまでサッカーをしていた。結果、僕は校内一走るのが速かった。上級生にも負ける気がしなかった。駅伝大会があれば僕が選ばれるのが当たり前だった。
小学5年の夏にアメリカから転校生がやってきた。日本語も話せるし僕たちはすぐに仲良くなった。彼はバスケットボールがとても上手かった。僕は彼のバスケに魅了された。
「あ、バスケやりたい。サッカーやめよう。」
ずっと続けていたサッカーをあっさりやめてしまった。僕の夢はサッカー選手のプロになることだったのに。
歯車というのは面白いもので、一度ずれるとうまく回らない。小学6年の校内マラソン大会は真剣に走るのをやめた。ずっと1位だったことを自分で放棄した。先生は言った。
「やる気がないんだったら今年の駅伝は無理だな。お前は何がしたいんだ?」
自分でもよくわからなかった。好きなサッカーをやめて矢印がなくなってしまっていた。バスケは楽しい。だけど転校生のスキルには敵わなかった。積み重ねてきたことがないからだ。かっこいいと思って簡単にバスケに乗り換えてしまった僕は後悔していた。だけどサッカーに戻る選択はしなかった。中学に入ったらバスケ部に入って転校生より上手くなってやる。絶対に負けないぞ。
小学6年の最後の校内マラソン大会が始まった。僕はまた真剣に走らなかった。まもなく折り返しというところで、先生が言った。
「がんばれよ!」
僕は悔しくなって全力で走った。結果1位になった。駅伝大会の選手に選ばれた。僕はもう一度頑張ろうと思った。全力で取りに行く。中学に入ったら全力でバスケットボールをするんだ。
だけど現実は厳しかった。これから僕が進むであろう中学校はバスケ部もサッカー部もないとてもとても綺麗な新設された中学校だったのだ。
