ほんの少し前

タイミングの悪さと悪あがき

人生で一番走りたいと思ってる時に、ドクターストップがかかった。成長痛と右足首の筋が伸びているとのことだった。

「あと、もう少し食事を増やしたほうがいいね。」

いわゆる痩せすぎである。

僕はここぞという時にヘマをやる。小学5年の駅伝に出場した時もヘマをした。ヘマというかトイレ事件だ。駅伝のスタートまで30分ほどになった。少しお腹の調子が悪い。ま、よくあることだ。トイレに行けば問題はない。トイレに向かう。川沿いの広場には工事現場によくある仮設トイレが5個並んでいた。駅伝に出場するであろう選手たちで大行列だ。

「うーん、トイレはのんびりしたいものだぜ。」

と思いながらも列に並ぶ。あっというまに順番が来た。

「どん!どん!どん!どん!早くしろよー!」

待て待て少年よ。のんびりトイレできないじゃないか。しかたない、あとでのんびりするか。とせっかちな少年たちに譲る。ま、なんとかなるか。よくあることだ。

僕は第一走者だ。さっと走ってくるか。スタート5分前、お腹に激痛が走る。顔色が真っ白になってしまいドクターストップがかかる。僕は補欠選手と交代することに。

「僕のタイミングの悪さはなかなかなものだな。」

体育館の隅で別メニュー練習になった高校生の僕は一人でドリブル練習をしながら思う。足は痛いけど、上半身は動ける。がんばれがんばれまけるなまけるな。

と同時期にキッシーが1年生ながらレギュラーに抜擢された。

ほんの少し前
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ぼく

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日本で暮らす