練習がない休日、高橋さんと映画を観ることになった。いわゆるデートに誘われたのだ。女の子と映画館に行くだなんて久しぶりである。うまく話せるかなと少し不安になるがまったく問題なかった。背が伸びた僕は高橋さんより5センチくらい背が高い。
高橋さんはおとなしそうな顔をしているのによく喋る。毎朝5分くらい話すだけの僕たちの関係は本日はもうすでに1時間以上話しっぱなしだ。こんなに話すことがあるなら映画を観なくてもいい気がしてきた。
僕は映画好きである。姉の影響でよく映画を観る。好きな映画を聞かれれば「ベティ・ブルー」と答えようと考えていた。とにかくベティがとても魅力的でベティに出会ってみたいものだとよく考えてしまう。
「好きな映画は?」
「ベティ・ブルー」
「え、ほんとに?」
ん、なんかまずったか。
「私もベティ・ブルーなんだけど」
まさかの展開に僕はびっくりした。
