席が隣なのは嬉しいことなのだが、隣で歩くことは嬉しいことではなかった。理由は簡単で身長差である。その転校生は僕より背が高いのだ。
隣に立つと10cm以上の差があるのだ。もちろん低いのは僕である。たしかにその転校生は美人さんである。それは素直に認めよう。きっとクラス一の美人さんであることは間違いない(いや、校内一か)。なので、隣の席でお喋りすることはとても楽しいのだよ。だがね、隣で立って話すのはなんというか悔しいというか、いや、情けないというか。情けないという表現のほうが合っているか。
そう、背の低い中学生男子というのは複雑なのだよ。これからやってくる成長期というのがこれほど待ち遠しいことはない。本当にやってくるのか。毎日牛乳は飲んでますよ。
