ほんの少し前

青春まっただなかさ

明日何て言おうかなと思っていると、電話が鳴った。少しにやけた声で母親は言った。

「電話ですよー」

そっけなく僕は子機を持つ。さっきとは打って変わって話す彼女。僕はこの声に弱い。一通り話を聞いて僕は思う。

完全に返事待ちですね。

さあ、どうしよう。とにかくよく話す彼女の声を遮って返事をするべきか。しかしよく話す。君は電話が得意なのかい?ま、気持ちはわかるか。僕も最近面と向かうとうまく話せない。お互い様か。

「あ、返事していい?」

時は止まる。意を決し、僕は言う。

「お付き合いのほどよろしく申し上げます。」

ほんの少し前

こんな感じだったかな。

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ぼく

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日本で暮らす