ほんの少し前

空を飛んだ告白文

人生初の告白はまさかの持ち越しになった。まだ告白すらしていないのだから失敗ではないのか。完全に不完全燃焼のまま帰宅の時間になった。

高台にある校舎。運動場の横を通る。水場が並んでいる。僕はここからの景色を日々楽しんでいる。ぼーっと歩きながら運動場を見ていると制服を着た彼女が走っていた。いや、走ってきた。

「ちょっと待って。」

いやいや、ずっと待ってましたけど。心の中でシンプルなつっこみをした。僕は足を止めたが彼女は何も話さない。できるだけ待つことにした。

彼女は何かを僕のほうに投げた。僕は拾う。丸まった紙切れを広げるとこう書いてあった。

好きです。つきあって下さい。

ほんの少し前
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ぼく

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日本で暮らす