新しい町は、駅を出るとすぐに坂だった。私は坂を上りながら、この町の名前をまだ覚えていなかった。
教室のドアを開けたとき、一番後ろの窓際の席が空いていた。担任が「そこ座って」と言った。隣の男子は、私が座っても顔をあげなかった。
休み時間になって、隣の席の男子が消しゴムを落とした。拾って渡すと、彼はやっと私の顔を見た。それだけのことだったのに、しばらく忘れられなかった。