教室の扇風機は首を振るのが遅くて、風が来るまでに十二数えた。私は数えるのが癖になっていて、数えているあいだにノートの端に短い文章を書いた。
隣の席の男子は、風が来るたびにプリントを手で押さえた。押さえ方が丁寧だった。たぶん彼は、自分が丁寧だと思っていなかった。
話しかけようと思った日が何度かあった。そのたびに風が来て、十二数えるあいだに機会が終わった。