卒業式の日、体育館のうしろで待っていた。誰を待っているのか自分でもわかっていて、わかっていることが恥ずかしかった。
彼女は来た。制服の第二ボタンがなかった。誰にあげたのかは聞かなかった。聞かないことで、答えを自分の都合のいいほうに置いておけた。
進む学校が違うことは、二人とももう知っていた。だから、また会おうという約束はしなかった。しなかったことを、僕は長いあいだ後悔していた。