パリの空は、大阪の空より低い気がした。低い空の下で、ユトリロが描いたような通りを、毎日同じように歩いた。
絵の道は、思っていたより長く、思っていたより誰も待っていてくれなかった。それでも筆を置かなかったのは、意地というより、他にやり方を知らなかったからだと思う。
彼と会ったのは、画材屋の店先だった。絵の具の名前を、彼は日本語より丁寧な発音で読み上げた。それだけのことで、少し笑ってしまった。