16
第五部
私

ふわっとしてる君

彼はいつも、どこか少しふわっとしていた。教室にいるはずなのに、心はどこか別の場所にあるような、そんな感じがすることが何度もあった。

役者になると聞いたとき、驚かなかった。ふわっとしている人は、ふわっとしたままの場所に行くものだと、なんとなく思っていたから。

捕まえてはいけない、と思っていた。捕まえたら、ふわっとしている良さが消えてしまう気がした。ふわっとしている君が、私は好きだった。

なんていうんだろう
ほんの少し前
CONTENTS/交互に読む僕のパートのみ私のパートのみ