大阪の美術予備校は、教室の匂いからして違った。絵の具と、古い木の床の匂い。
先生に言われた言葉より、隣の席の人が描く絵のほうが気になった。真剣に何かに向き合っている人を見るのが、久しぶりだった。
彼のことは、たまに思い出す程度になっていた。思い出す程度で済んでいることに、少しほっとしていた。